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NEWS: 米Twitter、モバイル広告管理プラットフォームMoPub社を3.5億ドルで買収

 (ライター:中村 研太)

米国企業MoPubは9月9日、Twitter社による同社の買収が合意に達したことを発表した。買収総額は公式には発表されていないが、株式3.5億ドルにのぼるとみられる。

 

 

 

 

 

MoPubは2010年創業のモバイルパブリッシャーがアプリなどの収益を最大化するための広告管理プラットフォームを提供する企業。今回の買収は、MoPubが企業のtwitterプロモーションにおける広告プラットフォームとなることなどにより、Twitter社の利益創出に対して大きなプラスの影響を与えることが期待されている。

 

 

Twitter社は昨年から、twitterのモバイルプラットフォームにおける広告配信を開始している。これはPCのプラットフォーム上では行われていない試みで、同社はこの新しい広告配信による収益がどれほどのものかについては公表していないが、この取り組みは一定の成果を収めていると考えられている。MoPubとTwitterが協力することにより、Twitterがすでに成功を収めているモバイル広告配信の分野においてより大きな成功を収めることが期待できる。

 

 

MoPubはモバイル広告の一元管理によりパフォーマンスの最大化を援助することができるサービスだが、今回の買収がTwitter社の今後の方針に対して具体的にどのような影響を与えるのかということは現時点ではわかっていない。Twitter社自身がMoPubのプラットフォームサービスの最大の利用者となり広告のパフォーマンスを最大化させるのに活用されることもあるだろうし、また例えばこのMoPubの技術をtwitter自身や他のtwitterのクライアントのソーシャルグラフを広げるために活用するようなことも考えられる。Twitterがロケーションに基づいた効果的な広告を提供できる立場にあるというレポートをtwitter自身が発表してきたという経緯もあり、MoPubのロケーションに基づいた配信制御の技術との親和性も高いと言える。

 

 

Twitter社は今回の買収による今後の事業展開について、コメントの中で以下のように触れている。
「我々はMoPubの技術を、Twitterの広告プラットフォームにおけるRTBに活用してtwitterの広告主がより容易に出稿管理を自動化できるようになることを計画している。我々は一貫して、ユーザーがその広告を『役に立つ』とか『面白い』と思うタイミングで配信することを目指している。Twitterの広告プラットフォームがより質の高いものであり続けるために、引き続き改良を続ける。」

 

MoPubのCEOであるJim Payne氏は、今回の買収について自社のサイト上で以下のようなコメントを発表している。
「3年前、BryanとNafisと私の3人は、広告のプログラマティックなメディア買付を行いパブリッシャーに対して強いコミットメントを維持することが今後のモバイル広告の発展に欠かせないという強い信念を持ち、『世界中のモバイルパブリッシャーに対して、広告管理の支援により、より良いコンテンツを提供する』というミッションを掲げこの会社を立ち上げました。それ以来、我々のチームは世界で100名近くまで拡大し、我々のプラットフォームは我々の顧客であるモバイルパブリッシャーのために毎月数十億もの広告を配信するところまで成長してきています。

私は、本日MoPubがTwitter社に買収されることで合意に達したということを発表できることに、とても興奮しています。MoPubと同様、Twitterも『モバイルファースト』を端に発展してきており、そういう意味で我々2社が協力して事業を進めることは、とても理にかなっていると言えるでしょう。

今回の買収において強調しておきたいことは、我々のサービスは、買収後も引き続き変わらず提供される、という点です。むしろ、今後はより強化されたサービスが提供されることとなります。Twitter社は我々のコアビジネスに対して投資を行い、我々は今後も引き続きモバイル広告をより効果的に運用するためのツールやテクノロジーを開発し続けます。

我々の広告プラットフォームの機能を拡充させるにあたり、我々はモバイル広告のエコシステムに対しより質の高いネイティブ広告をもたらすことができるのではないかと感じています。今後はTwitter社の出資によりより多くのリソースを投入できることとなり、我々のビジョンをより近い未来に実現できるでしょう。」

 

また、彼はMoPudのパブリッシャーとしてのビジネスがどのようにTwitterと融合するのかという質問に対して、GoogleとDoubleClickとの関係を引き合いに出し次のように答えている。
「Googleは単独でも、自社の事業の収益化において大きな成功を収めていますが、他のサイトにおける広告配信におけるスケール、幅広さ、リーチ、フリークエンシーなどを兼ね備えた重要な広告媒体であるためには、DoubleClickの存在が必要でした。我々の事業が、twitterに対して同様のものを提供できるのではないかと考えています。」

 

今回の買収により、Jim Payne氏はTwitterのエクスチェンジ担当副社長に就任する見込み。

 

 

関連リンク
MoPubプレスリリース(英文)

 

 

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。
2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。