日本版、広告テクノロジー業界マップ2012 (モバイル広告)
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on 2012年11月22日 in『広告テクノロジー業界マップ』第二弾は、日本市場の中でもひときわ関連企業のプレイヤーがひしめき合い、カオスと化している『モバイル広告』です。スマートフォンの急速な普及に伴い、国内外でモバイル広告市場拡大の期待が高まっているのと同時に、テクノロジーとしては多くの課題も抱えています。
2012年3月発表のMM総研レポートによると、2012年3月末のスマートフォン契約数は2,522万件で、フィーチャーフォンを含む端末総契約数1億1,232万件に占めるスマートフォン契約比率は22.5%、2014年度末にはスマートフォン契約数が過半数になると予測しています。
スマートフォンの契約数が伸びているのに比例して、消費者の生活にも変化がみられています。博報堂DYメディアパートナーズの「メディア定点調査2012」によると、携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット時間は40.4分と、2008年からの4年間で2.3倍以上も媒体接触時間が伸びています。
モバイル広告市場においては、2011年はフィーチャーフォンからスマートフォンへの転換期で成長が一時的に減少しましたが、2012年にはスマートフォン向け掲載料が前年度比1.8倍と拡大し、2016年度には2011年度比5.6倍の2,010億円まで成長すると予測されています。(株式会社富士キメラ総研「2012 ブロードバンドビジネス市場調査総覧」)
と、ここまでは順調にモバイル広告市場が伸びている感を受けますが、PCのディスプレイ広告と比較すると、広告市場拡大の起爆剤となるターゲティングやRTB(リアルタイム自動入札)などのテクノロジーへの対応には、まだまだ課題が多く見られます。IDCの「Real-Time Bidding in the United States and Worldwide, 2011–2016」によると、米国ではモバイルにおけるRTB対応はディスプレイ広告から3年の遅れをとっており、下記のようなポイントがモバイルのRTB対応遅れの原因とみられています。
- Cookie: iOSなどのモバイルブラウザがCookie非対応であるため、ターゲティング配信が難しい。
- Sandbox: Sandboxと呼ばれるスマートフォン・アプリのセキュリティ制限により、ターゲティングのプラットフォームとの接続が難しい。
- モバイル広告データの正規化: スマートフォンのブラウザやアプリで表示される広告のインプレッションの定義がスタンダード化されていないため、RTB上での取引に支障がでている。
- 回線スピード: RTBにおいて広告が表示されてから入札までのスピードは、30 ms(ミリ秒=0.03秒)が理想的、50ms(=0.05秒)はクリアしなくてはならないとされているが、現状の2G・3Gの回線では実現が難しい。
最終更新日:2/12/2013
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ABOUT 大山 忍
ExchangeWire Japan 編集長
米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。
2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。