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NEWS: モーションビートがスパイアを吸収合併、スマホ広告市場拡大を見越し事業を集約

モバイル広告を中心にインターネット関連事業を展開するモーションビートと、スマートフォンメディアおよび広告テクノロジーによる広告入札・運用を代行するトレーディングデスク事業を展開するスパイアは10月17日、合併契約を締結したと発表した。これにより、スパイアは上場廃止・解散となり、合併後の新社名は『ユナイテッド株式会社』となる。(12月30日に吸収合併の効力発生予定。)

 

近年の急激なスマートフォン(以下スマホ)市場拡大に伴い、ビジネス領域をスマホ広告を軸とした3つの事業に集約する。

1.スマートフォンメディア事業

2.トレーディングデスク事業

3.広告プラットフォーム事業

これまで日本におけるモバイル広告は、ガラケーと呼ばれる日本独特のフィーチャーフォン向け広告が一般的だったが、PCに比べて配信単価が低く、値崩れが進んでいたため広告市場の成長としては頭打ちとなっていた。そこにスマホ市場の急速な拡大とDSP・RTBなどリアルタイム入札のアドテクノロジーの台頭が、モバイル広告への付加価値と適正価格を生み出すチャンスと、モーションビートとスパイアの両社は捉えたようだ。

日経BPコンサルティングの7月の調査によると、スマホの国内普及率は18%で、1年でほぼ倍増しているという。また、フィーチャーフォンとスマホを含む『携帯電話』を介して流通している金額“携帯流通マネー”の年間総額は推定2兆4698億円で、そのうちオンラインショッピング(45.4%)とネットオークション(11.2%)だけで半数を超えており、前回調査よりも増加傾向にある。リアルタイム入札(RTB)やリターゲティングなどパフォーマンス重視のアドテクノロジーはPCのディスプレイ広告で効果が実証済みであり、コマース系広告主を中心にスマホ広告への対応に期待が高まりつつある。

しかしながら、スマホ広告市場の発展には課題も多い。新しい市場であるため、そもそも媒体の数は多くなく、広告枠の在庫も充分ではない。またデバイスの特性上、表示できる広告サイズは小さく、広告メッセージも限られるため、スマホの特徴を生かした広告商材の開発も求められている。また、PCにも共通する課題だが、複雑化するアドテクノロジーを活用できるだけの人材が業界全体で不足しており、広告枠を販売していた代理店の存在価値も揺るぎ始めている。

モーションビートとスパイアによる新しい合弁会社は、スマホメディアの開発から、アドネットワーク・アドテクノロジーによる広告基盤の提供、そしてアドテクノロジーを駆使した戦略と運用を代行する人材の提供と、ホリスティック(全体的)なサービス提供により、スマホ広告の新興市場におけるリーディングポジションの獲得を狙っているようだ。

ABOUT 大山 忍

大山 忍

ExchangeWire Japan 編集長

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併。
2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベスト プラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)に関する執筆・講演を行う。