2014年の中国オンライン広告市場は約2.9兆円規模、2015年はプラス約1兆円増。iResearch調べ
中国市場調査会社iResearchが2月3日、2014年の中国オンライン広告市場規模を公表した。
経済減速も消費需要が後押ししオンライン広告市場は前年比プラス40%成長
中国市場全体の経済成長は減速傾向にある一方で、経済システムの高度化やサービス産業の急成長、労働環境の改善と所得向上などにより、国内の強い消費需要やオンライン小売業の拡大が見られた。これらを背景に、中国オンライン広告市場は前年比プラス40%成長となり1540億元(約2.9兆円)規模に達した。
2014年のオンライン広告市場成長率は前年に比べて鈍化、市場は成熟期に向かい新しい展開がみられたという。
従来のインターネットメディアの成長が減速する一方、ブランド広告主予算が新しいアドテクノロジーや広告フォーマットが市場成長の強いモメンタムを形成しているとのことだ。
中国オンライン広告市場内訳、検索連動型広告シェアが28.5%で最大
2014年の中国オンライン広告市場の内訳をみると、検索連動型広告のシェアが28.5%、前年と比較して2%アップした。これに次いでeコマース広告が26.0%、前年よりわずかに構成比が低下した。ブランドグラフィック広告(※スタティックバナー広告のことであると思われる)が21.1%となったとのことだ。
アドテクや動画広告が市場成長を促進、2018年には約7.4兆円規模に成長
同社はTencentのAdExchange Guangdiantongや、Shina のWeibo Advertisingなどを例に挙げ、データ分析やアドテクノロジーの活用により広告の効率的な需給マッチングの実現によりポータルサイトやソーシャルメディアの広告収入が増加したとしている。
また、2014年はメディアの動画広告収入が高い成長率で増加したことに触れており、その要因として、ブラジルワールドカップや、多くのバラエティー番組が提供されたことによる視聴数の増加と、ブランド広告主が動画広告の活用を重視し、予算を増やしたことを挙げている。
また、中国オンライン広告市場は現在Baidu とTaobaoが市場全体の56.2%を占めているが、その他2014年はiQiyi&PPS、Qihoo360、Tencentなどの収入が好調に推移したとしている。
同社の予測では、2015年のオンライン広告市場規模は2093億元(約3.9兆円)、2018年には3930億元(約7.4兆円)規模に達するとのことである。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。