BuzzFeedとヤフー、「BuzzFeed Japan」を設立、今冬に日本向けBuzzFeedを創刊
米国ニューヨークのメディア企業BuzzFeedとヤフー Yahoo! JAPANは、合弁事業会社「BuzzFeed Japan株式会社(以降BuzzFeed Japan)」を設立し、今冬日本向けBuzzFeedを創刊することを公表した。
BuzzFeedは2008年に設立された、ソーシャルニュース、エンタテインメントメディアであり、多くの動画コンテンツも提供している。コンテンツの多くはタイムライン型でフィード形式により提供されている。
同社はこれまで、Star.me、Yoke、Kingfish Labs、Hyperallergic、Torando Labs、Zeegaなど、6つのWebサービス企業を買収し、事業拡大を図ってきた。
BuzzFeedのユーザートラフィックは、既に45%は米国外からであり、コンテンツのグローバル化を追って、ビジネス拠点のグローバル化を進めている。これまでに、英国、フランス、ドイツ、ブラジル、インド、オーストラリアなどで拠点展開をしている。合弁会社設立による海外展開は、今回の日本におけるYahoo! JAPANとの取り組みが初めてとなる。
BuzzFeedの月間ユーザー数は、世界で2億人にのぼる。ソーシャル、モバイルとの親和性が高く、トラフィックの60%はモバイルからであり、またユーザーアクセスの75%はソーシャルメディア経由、ユーザーの半数は18歳~34歳の若年層という特徴を持つ。
BuzzFeedの主な収益源はネイティブ広告である。同社社内にはビデオ広告にも対応できるネイティブ広告向けのコンテンツクリエイティブチームがおり、数多くのグローバルブランド広告主向けにソーシャルでの拡散を想定したコンテンツを制作している。
またソーシャルメディア上での拡散を促進するために、Facebookなどのソーシャルメディアに広告出稿をするという手法もとっている。同社の収入は2012年から2013年に3倍となり、また2014年上半期の収入は4600万ドルに達したとのこと。(英語)
BuzzFeed Japanが創刊するニュースメディアは、独自報道やインターネットカルチャー、ライフスタイル記事を中心に、ソーシャルメディアで拡散されやすいコンテンツなどを提供していくとのこと。また、同メディアは「Yahoo!ニュース」のコンテンツパートナーとして、「Yahoo!ニュース」へのコンテンツ配信を予定している。
一方、広告ビジネスにおいては、BuzzFeed Japanが提供する広告はYahoo! JAPANが独占的に販売を行うとのこと。単純に考えると、Yahoo! JAPANの広告ビジネスにとり、動画広告やYDNを通じたネイティブ広告の多くの配信先コンテンツを得ることにもなり、大きな販売機会を得るきっかけにつながる可能性がある。
また、もし米国BuzzFeedのビジネスモデルが日本でも実施されることになれば、日本で多くのブランド広告主を抱えるYahoo! JAPAN、そしてソーシャルに親和性の高いコンテンツや広告を生み出すBuzzFeed、膨大なオーディエンスデータと多くのユーザー数を持つプラットフォームであるFacebookの三者が、新しい強力なバリューチェーンを作り出すこととなる。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。