先週のアドテクシーン: Google、アプリログ解析ツール「Firebase Analytics」を発表
(ライター:Livit Tokyo 中井 千尋)
広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きたトピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。
【新サービス・新機能】
アイモバイル、スマホ動画リワードアドネットワーク「maio」にてAndroid版の広告配信用SDKを提供開始
アイモバイルは、同社が提供するスマホ動画リワードアドネットワーク「maio」のAndroidへの対応が完了し、SDKの提供を開始したと発表した。
maioは2015年9月14日のリリース以降、1,000を超えるiOSアプリに導入されており、動画リワード領域では国内最大級にまで成長している。
Facebook、オーディエンスネットワークで動画広告のリーチを拡大
Facebookは、同社のオーディエンスネットワークを拡張し、ブランド目的の動画広告にも対応させた。
今後は、FacebookとInstagramだけでなく、その他の人気アプリや人気ウェブサイトにも動画広告が配信可能となる。ターゲット層が頻繁に利用しているアプリがある場合、そのアプリのほうにより多く広告が配信される。
クレディセゾンとデジタルガレージ、セゾンカードデータなどを活かした「セゾンDMP」を構築
クレディセゾンは、デジタルガレージと共同で、同社のセゾンカードの利用データなどを活用したプライベートDMP「セゾンDMP」をリリースした。
カードデータはプライバシーの観点から取り扱いが難しいが、有効に活用することができれば、マーケティングにおいて非常に大きな力をもつ、DMPとの連携に期待が高まる。
Google、Google I/Oにてアプリ版のGoogle Analyticsといえる「Firebase Analytics」を発表
Googleは、米国時間5月18日に開催されたデベロッパー向けのカンファレンス「GoogleI/O」にてさまざまなソリューションを発表した。その中でもアプリ版のGoogle Analyticsといえる「Firebase Analytics」の発表は注目度が高く、iOSでも利用可能な上、無償で制限なしに利用できる。アプリ分析ツールのデファクト・スタンダードになる可能性も高い。
【提携・買収】
CyberZの「F.O.X」、「Yahoo! DMP」と連携
CyberZのアプリ計測ツール「F.O.X」と「Yahoo! DMP」が連携を行った。
計測したユーザーの行動履歴と「Yahoo! JAPAN」のマルチビックデータの分析結果を利用した広告配信が可能となる。アプリ計測ツールとDMPを連携させ、リテンション施策などを実施する方法が浸透してきた。
アドウェイズ、ベトナム大手テレコム企業Viettel Groupと戦略的パートナーシップ締結
アドウェイズは、ベトナムの大手テレコム企業と戦略的提携を発表した。
Viettel Groupが提供する、同国で大きなシェアを持つ無料メッセージアプリ「Mocha」と提携し、広告効果の最大化の実現を目指す。同アプリはベトナムの携帯電話ユーザーのおよそ半分、1.38億人以上もの登録者数を抱えており、今後もさらなる普及が期待されている。
フルスピードの「AdMatrix DSP」、サイバーエージェントの「CA ProFit-X」と接続
フルスピードの「AdMatrix DSP」は、サイバーエージェントが提供するインフィードアド特化型SSPの「CA ProFit-X」と接続した。
これにより同DSPは、豊富なインフィード在庫にアクセス可能となった。従来から展開しているDNAを含めたネイティブアドの在庫数は国内最大級の月間500億imp規模となる。
【新会社・新組織】
アドアジアホールディングス、タイにて現地法人を設立
日本にも進出を行ったアドアジアホールディングスは、タイに現地法人を設立し、次世代TV広告プラットフォームの開発・運用および、「AdAsia Digital Platform」「AdAsia Ad Network」の運用及び拡販を開始した。
タイのDigital TVの市場規模は前年比50%、デジタルマーケティングの市場規模は前年比37%のペースで拡大している。
【業績・決算】
Criteo、2016年第1四半期の業績を発表
Criteoは、2016年第1四半期の決算を発表した。売上高および純利益は前年同期比36%増となり、モバイル広告がビジネス全体の半分を突破するほどに成長をした。
また、第1四半期におけるクライアントの純増数は760を超え、四半期としては史上2番目の増加数となり、クライアント維持率は90%を維持している。
【調査結果】
電通とApp Annie、「日本ゲームアプリ市場レポート」を発表
電通とApp Annieは共同で「日本ゲームアプリ市場のレポート」を発表した。
レポートは、英語、日本語に対応しており、近日中に韓国語、中国語にも対応する予定。国内外に向けて国内のゲームアプリ市場の認知を広げる。App Annieはアプリに関するデータとインサイトを提供しており、法人向けの製品である「App Annie Intelligence」は、全世界の主要アプリのダウンロード数、収益、ユーザー属性、利用状況の推計値や予測値などのデータが含まれる。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。