広告配信で位置情報活用が本格化か!?~サイバーエージェント アドテクスタジオとFreakOutが新サービスをリリース~
ターゲティング広告における位置情報活用が活発化してきた。
1/7に、サイバーエージェント アドテクスタジオと、FreakOutが相次いで位置情報を活用したプロダクトをリリースした。
まず、サイバーエージェントのアドテクスタジオであるが、リアル行動ターゲティング情報を活用した動画広告配信サービスを開始する。
広告配信には、今回リリースしたスマホ向けDSP、Bit Blendを活用。ユーザーのリアルな世界での行動履歴やオンライン上のデータを活用してユーザーのプロファイルを作り、ユーザーの生活シーンに応じて、月間約1,000億インプレッションの広告在庫を対象に動画広告をターゲティング配信する。
一方、FreakOutがリリースしたのは、日本交通グループと提携し、子会社のJapanTaxiが運営するタクシー配車アプリ「全国タクシー」ユーザーの位置情報データを活用したもの。
同アプリからのユーザーのオフライン行動履歴や、FreakOutが別途収集するユーザーのオンラインWeb・アプリ上での行動履歴データを活用、ユーザーセグメントを作り、特定のエリアにいる訴求したいターゲット層に広告を配信する。
また、提携するタクシー会社のタクシー車内でのサンプリング提供や、タクシーラッピング広告などと組み合わせたキャンペーン設計も可能としている。
同じ日にリリースした両社の今回の位置情報の活用方法についての訴求ポイントは、少し異なる。
アドテクスタジオは、位置情報を行動履歴として活用し、ユーザーのプロファイリング生成、そしてセグメントごとにターゲティング配信する方法を訴求、一方のFreakOutは、現在の位置情報“を活用し、現在特定の場所にいるユーザーに対して広告配信する、いわゆるジオターゲティングを訴求している。
(※両社サービスともいずれの配信にも対応はしているとのこと。)
サービスのターゲットだが、比較的、前者はテレビCMと連動したキャンペーン展開時などに、後者はユーザーを店舗に誘導するための集客プロモーション時などに適しているようだ。
位置情報を活用したターゲティング広告は、2年ほど前から国内外の事業者参入が進み、昨年から現在にかけて、実用的なサービスのリリースが続いている。
もっとも日本では、2005年12月にはシリウステクノロジーが「アドローカル」をリリースし、フィーチャーフォン向けのアドネットワークに位置情報連動型広告を配信した歴史がある。
だが当時とは位置情報の精度やボリューム、そしてモバイル(当時はフィーチャーフォンであり、現在はスマートフォン)広告を出稿する、広告主の数など、全ての環境が異なっており、現在になり、位置情報の活用に関するルールの方向性なども含め本格的に普及する環境が日本でも整ってきたことが、このリリースラッシュの背景にあるのであろう。
位置情報活用の普及は、ターゲティング精度の改善による広告効果の向上や、新たな広告主層の発掘に大きく寄与することが期待される。無論、ユーザーのプライバシーに配慮して嫌われないようにすることが、大前提ではあるが。
この領域は、2016年の注目トピックの一つであることは間違いない。
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。