先週のアドテクシーン(国内編): CAアドテクスタジオが新プロダクトを相次ぎリリース、Platform IDがプログラマティック・ダイレクトで予約型広告配信開始
(ライター:岡 徳之)
広告テクノロジー業界を定点観測するExchangeWire編集部が、過去一週間に起きた国内トピックの中から特に注目すべきものをピックアップしてお届けする。海外のアドテクニュースは、先週のアドテクシーン(海外編)をご覧いただきたい。
サイバーエージェントがスマホアプリ特化のダイナミックリターゲティング広告を開始
サイバーエージェントのアドテクスタジオが、スマートフォンゲームアプリに特化したダイナミックリターゲティング広告「Dynalyst for Games」の提供を開始した。Dynalyst for Gamesは、スマートフォンゲームアプリに特化したダイナミックリターゲティング広告である。特徴は、広告主企業が保有する自社ゲームアプリのユーザー行動情報と連携し分析を行い、ユーザーのゲームアプリの利用状況に応じて、一人一人に最適化されたバナー広告をリアルタイムに配信できること。これにより、広告主企業のスマートフォンゲームアプリを利用するユーザーの、アプリ利用頻度、ゲーム内のアクション回数などの向上に貢献するという。
中国最大規模のダイナミックリターゲティング広告DSPが日本に本格進出
YICHAは、上海に拠点を置く中国最大のDSP事業者である「Shanghai MediaV Advertising Co., Ltd.」と業務提携を行い、2014年4月より「YICHA MediaV DSP」を提供してきた。Shanghai MediaV Advertisingが2015年よりアジア地域で本格展開するにあたり、YICHA MediaV DSPも日本国内主要のSSPと複数接続を行い、2015年春までにPCおよびスマートフォンにおける広告配信可能在庫を月間1,000億インプレッションへ拡大させる。日本の広告費はアジア太平洋地域で中国に次ぐ規模となっており、Shanghai MediaV Advertisingは日本をグローバル展開における重要な市場と位置づけている。
エスワンオーインタラクティブとナカミノが動画マーケティング事業で提携
エスワンオーインタラクティブとナカミノが、オンラインビデオコンテンツとオンラインビデオ広告運用の双方の領域で最適化を行っていくためのパートナーシップを組み、共同して広告主企業のオンラインビデオマーケティング支援を行っていく。トレーディングデスク事業とオンラインビデオコンテンツマーケティング事業者の提携は、国内ではまだ先進的な事例といえる。ビデオ広告も運用広告が広がる中、運用力とコンテンツ力の双方が求められるようになっていくと考えられ、今後、このような取り組みは増えると思われる。
アイモバイルとサイジニアがレコメンデーション広告をアドネットワークで展開
アイモバイルとサイジニアが共同で、アイモバイル社のマルチデバイス向けクリック課金型アドネットワーク「i-mobile」に、パーソナライズされたレコメンデーションバナー広告を表示する「アイレコ powered by デクワス.AD」を開発した。2014年11月に実施したテストマーケティングでは、広告主企業が利用中のリターゲティング広告上で、最良CPAをさらに60%以上改善しながら過去最大のコンバージョン数を獲得したという。アドネットワークは単価の安さから今でも需要は高く、そこに流行しているレコメンデーション機能が付随した形となる。
サイバーエージェントがスマートフォンに特化した動画アドネットワークを開始
サイバーエージェントのアドテクスタジオが、連結子会社であるApp2goが開発するスマートフォンに特化した動画アドネットワーク「LODEO」の提供を開始した。LODEO」は、ゲームやニュース、ライフスタイルなど多様なスマートフォン向けメディアと連携し、動画広告を配信する。カジュアルゲームなどのゲームクリア後に全画面にて動画再生するスマートフォンアプリ提供企業向けの「Instiad」や、ニュースサイトや情報まとめサイトなどの記事内に動画を掲載するブランド認知訴求向けの「Feed ad」など、配信メディアの特性にあわせた広告フォーマットで掲載することが特徴。徐々に増加しつつあるスマホの動画在庫のマネタイズに貢献する。2015年3月までに200社の導入を目指す。
Kauliがプライベートマーケットプレイスなどプライベート取引への対応を強化
Kauliが、同社が提供するSSP「Kauli」でのプライベート取引への対応を強化し、プライベートマーケットプレイスをはじめとしたプログラマティック広告販売を開始した。現状では具体的な接続先は公表されていないが、既に接続済みのDSPや同社が提供する買い付けツールなどからPMP取引ができるように順次対応するとのこと。
Platform IDがプログラマティック・ダイレクト活用の予約型広告配信メニューを開始
オプトグループのPlatform IDが、純広告のプログラマティック取引であるプログラマティック・ダイレクトを活用し、オフラインユーザーへ向けたターゲティング広告配信メニューを開始する。プログラマティック・ダイレクトとは、予約型の広告であり、媒体、広告枠、期間、単価、インプレッションを指定し、配信在庫をシステム上で買付が可能な取引形態。RTBとは異なり、オークションによる買付競争が発生しないため、特定の配信在庫を独占し買い付けることが可能だ。「XrosDSP」「XrosSSP」の双方をつなげることで実現していく。
SSP「AdStir」がドイツのネイティブ広告アドネットワーク「PubNative」と接続
ユナイテッドが提供するスマートフォン媒体社向けのSSP「AdStir」が、ドイツ・ベルリン拠点のPubNative GmbHのネイティブ広告アドネットワーク「PubNative」と、国内SSPとしては初めて接続し、スマートフォンアプリメディア向けにサービスを開始した。PubNativeは、広告案件のアイコンや説明文などの広告要素に加えて、レーティングや各国にローカライズされた言語の説明文など、21個以上の多彩な広告データから必要な広告データを選んでカスタマイズできる拡張性の高いネイティブ広告が特徴。CPM最適化アルゴリズムにより、最も収益性の高い広告を自動的に配信する機能や、多様なターゲティングオプションを持ち、メディア収益の最大化が可能となるという。国内でもネイティブ広告のプログラマティック取引が本格化していく兆しだ。
(編集:三橋 ゆか里)
ABOUT 野下 智之
ExchangeWire Japan 編集長
慶応義塾大学経済学部卒。
外資系消費財メーカーを経て、2006年に調査・コンサルティング会社シード・プランニングに入社。
国内外のインターネット広告業界をはじめとするデジタル領域の市場・サービスの調査研究を担当し、関連する調査レポートを多数企画・発刊。
2016年4月にデジタル領域を対象とする市場・サービス評価をおこなう調査会社 株式会社デジタルインファクトを設立。
2021年1月に、行政DXをテーマにしたWeb情報媒体「デジタル行政」の立ち上げをリード。